浅沼宏和ブログ

2021.03.22更新

ハイブリッドワークライフは仕事とプライベートの境界線を厳密にひかず、一体として捉えようとするコンセプトです。

従来のワークライフバランスの考え方の根底には仕事をする時間を「オン」、プライベートを「オフ」と見る発想があります。しかし、知識労働が重要性を増した世界ではこの二区分は、あまり意味を持たなくなります。

例えば、睡眠を1日6.5時間、仕事を8時間×5日、食事・入浴等1日2時間とします。おそらくこれ以上削りようがないほどシンプルな設定です。すると、睡眠45.5時間、仕事40時間、食事等14時間、で合計99.5時間です。

1週間で見ると、その他が68.5時間になります。その他には、残業時間、通勤時間、家事等も含まれます。仮に、それらを18.5時間(相当少なく見積もっています)とすると、残りは50時間です。

この最大50時間を使って娯楽のみならず、将来に向けた投資(スキル習得・人脈拡大等)、スポーツなどのコンディショニングを行わなければなりません。定時で見ると仕事は40時間しかなく、オフの過ごし方で未来が大きく左右されるのです。

現代では組織の存続の不確実性が増しています。大企業にいるからといって一生安泰というわけにはいかなくなりました。それだからこし、社会を生き抜く力を常に磨き続けなければなりません。

こうしてみると、オンとオフで明確な線引きを引く発想は現代のビジネス環境にはそぐわないのです。フリーランスの人であれば、常に能力を高め続けなければ、仕事のオファーが突然無くなるのが当然と理解しています。しかし、大組織に属していると、表面上はそうしたリスクがないように見えてしまいます。これが大きな落とし穴です。

主体的に生きるとは、常に能力を強化し、自由な選択の余地を広げていくことです。選択肢を広くするためには仕事の時間と同様にプライベートな時間を何に使うかが重要になるのです。

これからは組織の属していたとしても、時価評価、すなわち今現在どのような成果をあげることができるかで評価されるようになっていくでしょう。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

2021.03.18更新

 従来型の企業の代表格ともいえる業種の一つが損害保険会社です。しかし、SOMPOホールディングスでは新規事業にフリーランスの力を借りる取り組みを始めています。

 同社はスマートフォンを使ったデジタル申請を行う事業のために、数多くのフリーランスを集めました。38人のプロジェクトチームの内、21人がフリーランスなのだそうです。その狙いはスピードにあります。DX時代に対応した高度人材を育成する余裕はなく、直近のプロジェクトを成功させる必要があるからです。

 フリーランスを使う理由はもう一つあります。それは従来の業界の常識にとらわれない柔軟な発想を求めたからです。チームの正社員は事業の課題をまとめ、解決の方向性を決めていきます。それに基づいて具体的な手法や製品を作り出すのがフリーランスなのです。

 SOMPOホールディングスの新規事業チームでは正社員とフリーランスの間の垣根をなくし、互いの役割を尊重し合う雰囲気づくりを重視しているそうです。

 今後はこうした働き方をする人は増えていくでしょう。

 ドラッカーは、知識労働者は価値を創造する能力を持つ人であり、それは企業から見ると資産として捉えることができると述べています。

工場労働の時代では資産家とは資金や物的設備を所有する人のことでした。つまり、現代の知識労働者は新しい価値を生み出す能力を持つ資産家なのです。高度な能力を持つフリーランスはドラッカーが予見したように、自分の好きなワークライフスタイルを選ぶことができます。つまり、企業に対して交渉力を持つことができるのです。

ハイブリッドワークライフのコンセプトの大きなモチーフとなったのが、こうした自身の能力に基づいて自由度の高い働き方をするフリーランスです。今後、こうしたタイプのフリーランスが増えていくでしょう。

すると、ハイブリッドワークライフのコンセプトには将来、このようなフリーランスとして働ける能力を身につけるワークライフを送ることも含まれてくるのです。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

2021.03.15更新

現在、ハイブリッドワークライフに関する著作の執筆を鋭意進めております。

新しい時代の働き方は一つではありません。100人いれば100通りのワークライフがあるのです。

現在、10数名の方のワークライフをご紹介すべく、取材を進めております。世界で活躍される方から、身近なビジネスマン、農家や林業家の方もいらっしゃいます。

多様なワークライフスタイルの中から共通点を抽出し、ハイブリッドワークライフのコンセプトと共にご紹介したいと思います。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

2021.03.15更新

 ワークライフバランスでは、仕事とブライべートとのバランスが重視されます。しかし、ハイブリッドワークライフでは仕事とプライベートとの境界線が消失すると考えます。そうした状況の中で、生活全般を充実させようということです。

 ところで、ハイブリッドワークライフでは「仕事」の意味を広くとらえます。通常、「仕事」というとお給料をもらうような活動をいいます。しかし、それではNPO活動は仕事に含まれないことになります。それは問題ではないかと考えます。なぜなら非営利活動も一つの立派な「仕事」といえるからです。

また、専業主婦の家事労働は「仕事」ではないことになってしまいます。しかし、専業主婦はそれこそ「仕事」とプライベートの区切り目のない生活をしているのです。同様に農業などに携わっている方たちも「仕事」とプライベートの切り分けは難しいでしょう。

 そういう意味ではあらゆる人が「仕事」とプライベートの切り分けが難しい状況に置かれているのです。広い意味ではアーティスト、学生なども当てはまることでしょう。

 このように「仕事」の意味を広くとらえる必要があるのは、狭い「仕事」の概念定義では、そこから漏れてしまう数多くの人がいるからです。例えば、大きな社会問題となっている「引きこもり」がそれに当たります。こうした人たちが社会に復帰するには、いきなりお給料をもらえる仕事に就く前に、段階的に社会と設定を持つ必要があるでしょう。その段階での活動にも「仕事」としての側面を認める必要があるように思われます。

 また、重い障害を持つ方たちや、リタイア後の高齢者にも当てはまるような広い「仕事」の概念定義を行うほうが、より社会にとって有益なのではないでしょうか。

 こうした理由から、ハイブリッドワークライフでは、最も広い意味で「仕事」を捉えたいと思っています。ただし、多くの場合、一般的な意味での「仕事」の概念も必要です。ですから、広義・狭義のどちらの側面からも「仕事」という言葉を使いたいと思います。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

2021.03.11更新

ハイブリッドワークライフでは主体的な行動が重要になります。主体的とは目的を自分自身で決めることです。自分で決めた目標こそが内発的動機づけにつながるのです。

そして、主体的行動の基礎となるのが日常的なこと、身の回りのことをキチンとすることです。それを規律と言います。規律正しさが基礎となり、その上に主体的行動があるのです。

例えば、トヨタ自動車に代表される製造業の世界では5Sという取り組みがあります。「整理・整頓・清掃・清潔・躾」の5つの行動の頭文字をとって5Sと呼ぶのです。5Sの取り組みは仕事の環境整備のために行われるのです。

トヨタでは工場の乱れている場所、汚れている場所に問題が潜んでいるとされています。つまり、乱れや汚れは問題のシグナルなのです。5S活動によって工場環境を徹底的に整えることで、あらゆる問題の芽を摘んでしまおうというわけです。

また、軍隊の士官学校などでも最初は徹底的に規律を身につけさせます。身なりやベッドメイキング、私物の置き方などすべてが決められています。歩き方、立ち方、敬礼の仕方などの基本動作もすべて決められています。そこからわずかにでもズレていれば厳しく指導を受けるのです。そこには個人的判断の入る余地はありません。すべて事前に決められており、それを徹底的に守ることで規律を身につけるのです。

しかし、上級生になるにしたがって自ら考えることが要求されます。言われたことをきちんとこなすだけでは士官としての職務が遂行できないからです。戦場では状況は常に流動的です。指示を受けていない事態にも対処しなければなりません。そこで求められるのは高度な主体性なのです。

このように人は規律を身につけることを成長の基礎とします。その上で、自ら考えて行動する主体性を発揮しなければなりません。これが「自立」です。

近年、大学スポーツなどで指導者の不祥事がありました。その学校では指導者の言うことは絶対であり、それに逆らうことは許されなかったと言います。そうした環境では主体性を身につけることはできません。

高度経済成長期には、指導者に逆らわず、言われるがままに全力で行動する人が好ましいとされていました。そうした行動を「自発的」といいます。積極的行動には違いありませんが、その行動の目的を自分で決めるのではないという点で主体的行動とは大きく違う者なのです。

現代では、あらゆる領域で主体性を発揮することが求められているのです。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

2021.03.04更新

新しい時代に合わせたドラッカー・マネジメントのコンセプト「ハイブリッドワークライフ」について商業出版が決まりました。6月までに原稿を取りまとめ、7~8月に店頭に並ぶ予定です。

当社では、すでに「ハイブリッドワークライフ」の商標登録(登録第6351295号)を取得しており、今後、このコンセプトについて積極的に社会に発信しておく所存です。

ハイブリッドワークライフについては書籍出版以外にも、研修やセミナー、各種のイベントなどを通じてご紹介してまいります。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

2021.03.03更新

目標は組織のすべての人に必要です。社長から新入社員まで全員が明確な目標を持たなければなりません。目標がなければ行動できないからです。各人の目標は、全体の目標、各部門の目標に結び付けて決めなければなりません。

また、他部門や他の人からどんな支援を期待できるかも明らかにしなければなりません。つまり、全体の成果をあげるためのチームワークが大切になるのです。

大組織では各部門がセクト主義や“島国根性”に陥り、互いの仕事を邪魔しあうことがよく起こります。ですから、各人の目標は共通の目標に強く結びつけられて決めなければなりません。

ドラッカーは「マネジメント(経営管理者)」とは組織全体に対してなすべき貢献について責任を負う者と述べています。マネジメントは自部門の目標を設定しなければならないとされています。その目標はそのマネジメントの上司の承認が必要ですが、目標を決めるのはあくまでもマネジメント自身の責任において行わなければなりません。もちろん、目標は自分の好みで決めてよいわけではなく、組織全体の客観的なニーズに基づいて決めなければなりません。

ですから、自部門の目標を決めるため、組織全体の究極の目標を知り、その内容を理解しなければなりません。そこから「自らに何が求められ、それはどのような理由によるのか」「自分のあげた成果はどのような指標で評価されるのか」を知らなければならないのです。そのため、マネジメントはより上位の部門の目標設定に参加するべきだとドラッカーは言っています。

 

 

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

2021.03.02更新

組織が成果をあげるには共通の目標が必要です。そして、すべての人の仕事がその共通の目標に向けて行われなければなりません。各人に期待される役割、責任、成果は共通の目標に基づいて決まります。これが大原則です。

ですから、組織人は事業の目標を理解し、それを自分の仕事に関連付けなければなりません。したがって、組織人が成果をあげるとは共通の目標への貢献として行われなければなりません。したがって、成果をあげることと貢献することは同じことになるのです。組織に属していない人の場合には、その目標は社会に置かれることになります。社会に貢献することで成果を最大化するのです。

しかし、組織の人々が仕事のベクトルをすり合わせることはとても難しいのです。なぜなら、それぞれが異なる専門領域で働いていますし、物の見方もそれぞれだからです。行動のベクトルを合わせるには、それぞれが互いの役割を理解し、物の見方をすり合わせなければなりません。組織におけるコミュニケーションの目的はここにあるのです。

ドラッカーはよく「三人の石工」のエピソードを用いて共通の目標の重要性を説明しています。一人目の石工は、生活の糧として働く、二人目は国一番の仕事を目指す、そして三人目は「大聖堂を建てる」ことを目指している。この「大聖堂を建てる」ことが共通の目標というわけです。あらゆる仕事はこの目標に照らして組み立てられるのです。二番目の石工のように一流の仕事をしたとしても、他の人の仕事とベクトルがあっていなければその仕事は無価値なのです。それを「仕事の自己目的化」といいます。

大きな組織では「仕事の自己目的化」がよく起きます。それは、「意味は分からないけれど、やらなければいけないと決まっている仕事」です。そうした組織では間違った物の見方が共有されたまま、疑われることがないのです。この状態では適切なコミュニケーションが成立していません。そのカギを握るのが共通の目標なのです。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

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