浅沼宏和ブログ

2020.12.23更新

この二つの言葉は似た概念で、しばしば区別されずに用いられています。しかし、厳密には違った意味を持っているのです。

人的資本は経済学に由来する概念です。最終的な成果に直接関係する人の知識やスキルを示しています。組織の現在の仕事に直接発揮されている人の能力といえるでしょう。

これに対し、人的資源は経営学の概念です。直接的な成果にも関係しますが、人の潜在的な能力に着目する傾向が強くあります。組織の未来の仕事に関係する人の能力と言えるでしょう。

組織が新しい分野に進出する場合、既存の能力だけでは十分に対応することはできません。したがって、将来発揮してもらう必要がある能力を定義し、その顕在化に向けて取り組む活動が人的資源管理のテーマになります。

仮に、既存の事業を大きく変えずに経営していく場合でも人的資源管理は重要です。例えば、社員の平均年齢が高い場合、次世代を採用し、教育していくことも必要になるからです。結果的に現状維持のビジネスを行う場合でも、将来における人の構成は変わってきます。こうした場合も人的資源管理の対象となるわけです。

では、人的資本はどう考えるべきでしょうか。人的資本は現在の組織の成果能力を客観的に示すものと考えると良いでしょう。例えば、総人件費はいくらかかっている。採用コスト、教育研修費はこれぐらいだ、といった現状認識をするための視点なのです。

人的資本と人的資源には重なる点も多いですが、このように単純に理解しておくだけで人の管理の在り方が変わってくるでしょう。

ハイブリッドワークライフを進めていく中で、現在の成果能力、将来の成果能力を区別して考えることは重要なのです。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

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