浅沼宏和ブログ

2017.02.27更新

とても読みにくい本ですが、デジタル化が進んだ今の時代をどのように眺めたらよいかを教えてくれる名著です。とても要約が難しく、あまり適切とは言えないかもしれませんがポイントは押さえたように思います。

「〈インターネット〉の次にくるもの―未来を決める12の法則」抄録 ケヴィン・ケリー著

 

1:BECOMING
 テクノロジーの世界では変化に向かうことが自然の流れ。すべてのものがアップグレードされ続ける。テクノロジーが生態系のようになり、アップグレードを遅らせることは破壊的な結果をもたらす。ところが変化が当たり前の世界では逆に漸進的変化に気づきにくくなる。われわれは今起きている変化を知覚することが苦手なのだ。しかし、今、イノベーターであろうとすれば目の前には広く開かれたフロンティアがあることに気づく。

2:COGNIFYING
 われわれの思考とAIの思考は結びつき境界線がわからなくなる。ディープラーニングがAIを進化させ、AI同士の連結は大規模なネットワーク効果を生む。こうして何もかもが接続された世界では違った考え方をすることがイノベーションや富の源泉となる。進化したAIの登場は人間性を再定義する必要性をわたしたちに示すだろう。

3:FLOWING
 インターネットは世界最大のコピーマシンであり、我々のあらゆる行動・性格・思想がコピーされ続けている。デジタル経済はこうして自由に流れるコピーの川の上を動いている。そしてこの超流通システムこそがわれわれの経済や富の基盤となっている。われわれの関心は形ある物から手の触れられないコピーに移っている。今や多くのプロダクトがアップデートされ続けるサービスの流れとして販売されている。ストックからフローへ、固定から流動へと変化する最前線の中でわれわれの選択肢は増えていく。

4:SCREENING
 古代の話し言葉から中世の書き言葉への移行で言葉の選択肢が増えて意思疎通の幅が広がった。いまや50億を超えるデジタル画面がわれわれの生活を彩っている。今の生活の中心は読書ではなく「画面を読む」ことなのだ。画面の世界は全てつながり大きなプロセスとなる。こうして読書は社会的な行為になるのだ。それは読書に比べてより実用的な思考法に向き、行動を引き起こすものとなる。そしてもっと重要なことは画面がわれわれを覗き込んでいるということなのだ。

5:ACCESSING
 所有することの重要性が失われ、その一方でアクセスすることがかつてないほど重要になっている。デジタルテクノロジーは製品からサービスへの移行を促し、「所有権の購入」から「アクセス権の定額利用」への転換を推し進めている。そして定額利用を続ければ続けるほど、そのサービスがあなたのことをよく知るようになり、ますます離れがたいものになっていく。これらを支える視点が、非物質化・分散化・リアルタイム化・プラットフォームの有効化・クラウド化なのである。

6:SHARING
 デジタルカルチャーにはコンテンツをシェアするという社会主義的性質がある。われわれはデジタル空間を通じて自由市場ではうまく解決できない問題へのアプローチを模索しているのだ。そのキーワードが、シェア・共同・コラボレーション・オープン化・自由価格・透明化などである。

7:FILTERING
 デジタル空間には無限の選択肢が用意されている。だからこそ選択に関する優先順位付けが大事になる。われわれの「注意力」は希少であるが相対的に安価になっている。注力を保管して次に使うことができないからだ。したがって質の高い注意力の使い方とものが重要な意味を持つ。そのためのフィルタリング・テクノロジーはさまざまなチャンスを生むだろう。グーグルやフェイスブックの凄さはコモディティ化した注意力をフィルタリングする巨大なプラットフォームであることにあるのだ。

8:REMIXING
 あらゆる新テクノロジーは既存のテクノロジーの組み合わせから生まれる。数多くの簡単なテクノロジーを組み合わせていけば新しいテクノロジーの可能性は無限にある。それがリミックスなのだ。デジタル空間ではさまざまな情報がコピーされてそれらがリミックスによって新たなテクノロジーを生むだろう。今後生まれる最も強力なメディアは最もリミックスされたものであるはずだ。

9:INTERACTIMG
 仮想現実(VR)はまるで本物のような体験になった。ついには現実との境界線は曖昧になるだろう。しかし、VRの世界ではそこに起きることのすべてが記録される。バーチャルな世界は監視下に置かれるのだ。また現実と一体化したVRの世界において私たち自身がパスワードの役割を果たす。それがデジタル世界での自分自身のアイデンティティを生み出す。全ての動作、目の動き、感情が解き明かされ、デジタルデータとして蓄積されていくのだ。

10:TRACKING
 われわれにとって自分自身ははっきりとしない存在である。しかし、医療健康上のデータ、動作追跡などを通じて言葉ではなく「定量化された自己」というものが明らかにされつつある。究極にはそれらの時系列的な流れは「人生の流れ」として記録されるだろう。そしてこうした流れをまとめる機関には絶大な権力が生まれることも知らなければならない。

11:QUESTIONING
 デジタルテクノロジーの進化でスマートな回答が簡単に入手可能になった。こうした世界では逆に質問の重要性が高くなる。そして最良の質問とは容易に答えに行きつかないものなのである。価値の源泉が「答えの確かさ」にではなく「質問の不確かさ」へと移行しつつある。不確かさ、カオス、流動性といった領域こそがフロンティアなのだ。

12:BEGINNING
 後世の歴史家はわれわれの今存在する時代を「驚くべき時代」と評価するだろう。われわれはそのプロセスの始まりの真っただ中にいるのだ。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

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