2023.01.19更新

 最近、「人的資本経営」という言葉をよく耳にします。人的資本とは、狭く見れば企業に所属する人たちのスキルや専門知識の総体のことです。広く見ればそうした人たちのチームワーク、それを支える企業の仕組みや企業風土なども含めることができます。

 1990年代ぐらいから、企業価値には決算書(財務諸表)には現れないものがたくさんあると考えられるようになりました。当時、「マイクロソフトの決算書には創業者のビル・ゲイツの価値が計上されていない」という冗談がよく使われていました。企業の価値を正しく評価するには、決算書には出てこない、ブランド、のれん(営業権)、開発力などの評価が欠かせないと考えられるようになっていたのです。人的資本もその一つというわけです。

 しかし、人的資本経営が最近、急に注目されるようになったきっかけがあります。国際標準化機構(いわゆるISO)が 2018年12月に人的資本に関する情報開示のガイドラインISO30414を公表したのです。その後、2020年8月には米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に対して求める要求事項に「人的資本の情報開示」を追加し、義務化しました。こうして人的資本を適切に開示することは上場企業にとって義務となったのです。

 このような欧米の流れに追随する形で、日本国内では経済産業省が2020年1月から「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」を開催し、2020年9月に経営戦略に連動する人材戦略の必要性を説いた「人材版伊藤レポート」を発表しました。そして、2021年6月には上場企業に適用されるコーポレートガバナンス・コードに「人的資本に関する情報開示」の項目が追加されました。 現在、多くの企業がその対応に追われています。

 「伊藤レポート」は、会計学会の大御所・一橋大の伊藤邦雄先生が中心となってまとめられたものです。こうした動きの背後にあるのはESG投資の重要性の高まりです。ESG投資とは、年金基金などの機関投資家が超長期の目線で投資を行う際に、E(environment:環境)、S(social:社会)、G(governance:統治) に着目して意思決定を行 う投資のあり方です。ESG投資は超長期における投資リスクが低いと言われています。こうした動向が企業の考え方、行動を変えたのです。

 人的資本のように決算書からは直接読み取れない情報を「非財務情報」といいます。人的資本の開示は非財務情報開示の一種です。最近では自社が気候変動から受ける影響、逆に気候変動に与える影響なども非財務情報として開示が義務付けられるようにな っています。会計の世界では金銭換算しにくいものの重要性が急速に高まっているのです。

 人的資本経営では何を行うべきでしょうか?この質問には正解はありません。しかし、社会のさまざまな人がその企業の説明を聞いて「立派な会社だ」と思ってもらうことが大切です。そのためには会社による説明が社会的に妥当なものでなければなりません。

 企業経営の場合、自社の戦略と連動させること、理想と現実の差を明らかにし計画すること、組織文化に定着させることが重要とされています。この考え方は人的資本経営に限らず、気候変動への対応等CSRに関連する項目すべてに当てはまります。

 

 


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投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

2022.12.10更新

 仕事柄、 M&Aの相談を受けたり、交渉の場に臨んだりすることが時々あります。10年ほど前のことになりますが、ある企業が新分野への進出を目論み、企業買収を行おうとしていました。超大手ファンドから持ち込まれた案件でした。私はその企業から買収価格に関する助言を求められました。

 買収対象の企業は特殊な製品を製造する中堅部品メーカーで、有名企業を中心に数百社と取引を行っていました。買収側企業にとって、多数の顧客とエンジニアを抱えている点が魅力でした。買収側企業の財務部長は、買収価格は26~28 億円が妥当」と考えていました。しかし、私は「上限は16億円、13億円以下で買えればなかなかお得」と意見を述べました。なぜ同じ会社に対する価格評価にこれほど差がついたのでしょうか。

 会社の価値を正確に評価する科学的な方法はありません。さらに、会社の価値は買収側の企業の条件・事情によっても変わってきます。A 社にとっては30 億円の価値があってもB社にとっては無価値かもしれないのです。会社の値段は相対的なものなのです。何に着目するか、言い換えればどんな“基準”、“考え方”を採用するかによって大きな差がつきます。

 といっても、会社の値段を決める一般的な方法はいくつかあります。一つは、決算書の貸借対照表の純資産の部の金額を元に調整する方法です。二つ目は、過去の売買事例に基づいて「相場」を割り出す方法です。三つ目は、その会社の現在の収益性から逆算してその価値を割り出す方法です。実際にはこうしたやり方をいくつか組み合わせ、個別の事情を斟酌して会社の値段を決めていきます。

 しかし、 そうやって割り出した値段が妥当な金額であるとは限りません。せっかく買収した会社を活かせなければ意味がないからです。事例の場合、私は買収される会社と買収しようとする会社が提供する価値が異質である点が問題だと考えました。

 買収側の会社には異分野のマネジメントを行う力が乏しく、買収後にさまざまな追加コストが生じると思われました。例えば、28億円で購入した後に追加コストが10億円発生すれば、本体の経営基盤が脅かされるリスクが高まります。買収側の企業にそうしたリスクを負える覚悟はないと考え、「上限16億円」との意見を出させていただきました。

 買収対象の企業には中堅エンジニアが多数いる点は魅力でした。また、仮に会社を清算した場合、10億円近い現金が得られると見込まれたので「13億円以下ならリスクは低く、かなりお得」と判断しました。結局、この買収交渉は合意に至りませんでした。

 その後、ファンドから何度も再提案がなされたのですが、その都度提示価格は下がっていきました。当初、20億円以上で交渉していたのですが、再提案されるたびに、18億、16億、14億と提示価格が下がっていきました。買収側の企業の経営者は、不信を覚え、再提案には全く応じませんでした。当初から16億円と提示されていれば交渉は成立したような気がします。

 数年後、その会社が7億円で買収され、その後、解散・清算されたという話を聞きました。結局、その会社を本当に活かせる会社が現れず、安く買い叩かれて解体されたようでした。

 

 


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投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

2022.11.15更新

              

  以前、国や地方公共団体などが大株主になっている東京中小企業投資育成株式会社から「社内不正防止セミナー」を依頼されたことがあります。私が内部統制に関する国際的なライセンス・公認内部監査人の資格を持っていたためです。

  担当者の方に「どうしてこのテーマを依頼したのですか?」とお尋ねしたところ、「社員数が 100 名を超えた企業では社内不正に悩んでいる場合が多いからです」とのことでした。社員が増えると経営者が社員の行動を把握できなくなってきます。また、企業規模の割には管理の仕組みが不十分な場合が多いため、社内不正が起きやすくなるのです。

  心理学者のクレッシーが提唱した「不正のトライアングル理論」という考え方があります。3つの条件が重なると不正が起きやすくなるというものです。3つの条件とは、①動機 ②機会 ③正当化 です。

  ①動機とは、金銭的な問題や欲求、仕事上の好成績へのプレッシャー、ミスや失敗を隠したいという気持ちなどです。中でも金銭的な動機が最も多いと言われています。

  ②機会とは、内部統制や社内監視が機能していない、もしくはこうしたものを無視できる立場にいるような場合のことです。とがめる人が誰もいなければ、出来心がわいてきやすいですし、不正行為も容易に行えてしまうのです。

  ③正当化とは、不正行為への心理的抵抗が少ない状況を指します。「このままでは会社が危機に陥る」と考えると、不正行為も仕方がないという気持ちになりがちです。「ちょっと借りるだけ。後で返せばよい」と考えると、目の前のお金を懐に入れることへの抵抗感も少なくなるでしょう。「他の人もやっている」、「経営者は悪い人だから懲らしめてやる」と考えると、不正行為が正しい行為に思えてきたりするのです。

  この3つの条件がそろうと不正行為が起きやすくなります。逆に言えば、この3つの条件が全部そろわなければ不正行為が起きにくいわけです。これが社内不正を防止するポイントになります。

  また、英国には状況的犯罪予防論という考え方があります。5つの状況を用意すれば不正は防げるというものです。その 5 つの状況とは、①物理的に実行しにくい状況、 ②すぐに見つかる状況、 ③やっても割に合わない状況、 ④その気にさせない状況、 ⑤言い訳(正当化)させない状況、の5つです。

  不正を行う人が一番悪いのですが、不正を起こしやすい状況、つまり、不正のトライアングルの3つの条件がそろうのを放置していたり、犯罪を予防する5つの状況を作り出すことを怠った企業の側にも大きな責任があります。

  企業管理のコンセプトとして“内部牽制組織”という考え方があります。役割、特に金銭に関する役割を分割して相互に監督し合う体制を作ることです。例えば、支払いを計算・承認する役割と実際に支払う役割を分離すること、現金を扱う役割と記録する役割を分離することなどによって相互に牽制させる仕組みがそれに当たります。

  小さな組織であれば比較的、個人の行動に目が届きますが、それなりの規模の組織では、役割を分割し、それぞれがけん制し合う仕組みにすることが大切になります。

 


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2022.10.01更新

               

 「正直者」という誉め言葉があります。「裏表のない人」という肯定的な意味で使われることが多い言葉です。しかし、「正直」であることはいつでも正しいわけではありません。状況次第では「正直」は悪いことになるかもしれないのです。

  「正直」に似た言葉に「誠実」があります。この二つは似ていますが、実は意味が違います。「正直」とはウソや偽りのない発言、振る舞い、そのような人物のことです。これに対し、「誠実」とは、自分自身の利得は後回しにして周囲の人や状況に対して最も良いと思われる言動をすること、そのような行動習慣を持つ人のことです。ですから、「正直」な人が「誠実」とは限りません。

  友達が悪人に追われて自分に助けを求めてきたとします。その友達を家にかくまっていたところ、悪人が訪ねてきて「おい!あいつの居場所をしっているだろう」と聞かれたとします。「正直」に答えるとしたらどうなるでしょう。「ええ、知っています。ウチにいますよ。」という答えになります。これだと友達は悪人にひどい目にあわされてしまいます。

  では、「遠い街に旅に出たといううわさを聞きました。」と答えたとします。そのおかげで友人は難を逃れることができました。もちろん、この発言はウソです。ですからこの人は「正直」ではありません。友人の状況をよく理解し、その友人にとって最も良い結果になるような言葉を選んだわけです。しかも、その発言のせいで自分自身が危険な目に合うかもしれません。しかし、この人は「誠実」な人と言えます。彼は「正直」ではなく、「誠実」な人なのです。

  医師が患者に対して、「あなたは重病ですね。この状況だとほとんど助かりませんね。」と話すのは「正直」ではあっても「誠実」ではありません。このように「正直」であることが正しくない場合はたくさん
あります。「正直」であるより「誠実」であることの方が大事なのです。

  哲学者のカントは「人は常に正直であるべきだ」と主張しました。実は友達をかくまう話はカントが用いたたとえ話です。カントはどんな場合であってもウソをついてはいけないと言っています。

  たとえ、相手が悪人であってもウソはいけないとカントは言います。そうすると、友達がひどい目にあわされてしまうかもしれません。カントは、ウソは許されないが、知っていることを必ずしもすべて話す必要はないと述べて倫理的な行動と正しい結果とのバランスを取ろうとしたのです。

  しかし、カントのように徹底的に「正直」であることにこだわると息が詰まるような気がします。“バカ正直”と呼ばれる人は「ウソはいけない」というカントのような考え方の人なのかもしれません。

  「正直」と「誠実」の使い分けに正解はありません。人生観や信念によって結論は変わってきます。「誠実」に行動したつもりでも、相手の受け取り方によっては「不誠実」に思われてしまうかもしれません。

  しかし、自分がどういう考え方をするかは意識しておくことは大切です。そうすれば、自分の基準や物の見方が適切かどうかを振り返ることができるからです。ことあるごとに自分の物の見方を振り返る習慣は「誠実」な行動のように思います。

 


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投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

2022.09.01更新

             

 在庫は会計上問題になりやすいテーマです。適切な会計処理を行うためには在庫の特性を理解しておくことが大切です。在庫の問題には、数量の問題と金銭評価(金額)の問題があります。

  在庫の間違いを防ぐには定期的に「実地棚卸」を行うことが大切です。実地棚卸は横領などの社内不正の防止、会計処理の誤りを早期発見するためにも必要です。また、実地棚卸の実施状況はその会社の業務管理レベルを示すものでもあります。中小企業の中には、倉庫をざっと見た程度で推定した概算値で済ましている場合がありますが、少しずつでも実地棚卸のレベルを上げていく取り組みが必要です。

  数量の問題で見落としやすいのは「社外在庫」です。社外在庫とは購入済みの商品や材料が、まだ購入先に預けられていたり、運搬中だったりして自社に届けられていない状態を指します。会計上は仕入れの記録があるにもかかわらず、それが在庫に計上されていないと損益の計算に大きな狂いが生じます。

  社外在庫は、商品等が手元にないので、つい見落としがちです。社外在庫の見落としは、自社だけでは保管が難しい商材を扱っている企業に起こりがちです。特に会計知識の乏しい人が在庫管理を行う場合には注意する必要があります。

  以上のような数を正確に数えれば済む数量の問題とは異なり、在庫の金額を評価することはわかりにくさがあります。複数の“正しい”考え方があります。例えば、買った時の値段がバラバラな商品等が在庫となっている場合、どの値段を選ぶかで在庫の金額が変わってきます。買うタイミングによっては価格が二倍、三倍も違うものもあります。評価の問題は簡単ではありません。

  在庫の評価としては、一つ一つの商品の入出庫とその価格を対応させる方法(個別法)がわかりやすいでしょう。しかし、大量の商材を扱う場合には事務量が増えて大変です。そこで、先に仕入れたものから出庫する方法(先入先出法)、後から仕入れたものから出庫する方法(後入先出法)、最後に仕入れた時の価格を適用する方法(最終仕入原価法)などがあります。最終仕入原価法が一番簡略であるためよく使われています。

  他にも、仕入れた商品の平均をとる方法(総平均法、移動平均法、単純平均法)や売価と原価の比率を在庫に当てはめる方法(売価還元法)のように計算によって求める方法もあります。こうした評価方法のどれを選ぶかは自社の事業の特性や実体、管理レベルによっても違ってきます。

  在庫の評価で最も悩ましいのが「仕掛品」です。仕掛品には材料費だけではなく、人件費やその他の経費がかかっています。それらの金額のうちいくらを仕掛品に配賦するかは難しい問題です。採用した配布基準によって仕掛品の金額は大きく左右されるのです。

  配布基準には人数、期間、面積、使用したエネルギーなどさまざまなものがあります。部外者が見ても「なるほど」と納得してもらえるような妥当性のある基準を選ぶことが大切です。仕掛品の評価はその判断基準を巡って税務調査でも問題になりがちです。

  在庫を適切に評価しないと正しい業績が分かりません。不十分な在庫管理によって自社の業績を正しくつかめていない会社はたくさんあります。在庫管理の妥当性は定期的に見直していく必要があります。在庫の問題の正解は一つではありません。

 


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2022.08.01更新

            

 浜松の北部、天竜区に広がる通称“天竜美林”は、奈良県の吉野、三重県の尾鷲と並び「日本三大人工林」の一つに数えられています。

  浜松の面積は 15.6 万 ha、そのうち森林が 10.3 万ha(66%)を占めています。民有林はその8割の 8.2万 haで、人工林がさらにその 8 割の 6.2 万 haです。人工林の9割は針葉樹(その多くがスギ)です。

  天竜の森の始まりは室町時代の文明年間(1469~1487年)で、春野町にある秋葉神社境内林としての植林記録が最古です。その後、元禄9年(1696年)、水窪町・山住神社の宮司が熊野からスギの苗木3万本を持ち帰り植林したことで本格的な林業が始まりました。宮司は一代のうちに 36 万本の植林を行ったといわれています。

  江戸後期には青山善右衛門が現れ天竜の林業を近代化させました。善右衛門は屋根に使う柿(こけら)板を創始したといわれ、共同購入した大型船で江戸に運ぶ大規模な木材流通システムを確立、江戸市場を席巻し「材木王」と呼ばれたといいます。

  しかし、江戸末期になると幕府の御用材需要が高まり、天竜の森林資源は減少、土砂崩れが頻繁に起きるようになりました。天竜川にも大量の土砂が流れ込むようになったのです。そこで明治時代になると金原明善が天竜川の治水工事と共に天竜の植林事業を行いました。

  急峻で流れの速い天竜川は二俣近辺を頂点とした広い扇状地を形成してきました。そして大雨の降るたびに扇状地上で流れを自在に変えるため、昔から頻繁に水害をもたらし「暴れ天竜」と呼ばれてきたのです。特に幕末の森が荒れ始めた時期には多くの水害が発生しました。明善の生まれ育った安間村も洪水に飲み込まれたことがあったのです。

  金原明善は暴れ天竜を鎮める治水事業に全財産を投げ打つ決意をしました。その人柄に対する明治政府の評価も高く、明善が陳情に訪れた際には内務卿だった大久保利通がわざわざ面会に応じたという記録が残っています。金原明善は郷土の偉人として今でも尊敬されています。

  明善は「植林に投資するのは銀行預金と同じ」「治水の基は水源涵養林にある」と述べ、官有林759haにスギ、ヒノキの苗木292万本を植えたほか、並行して隣接する山林1200haに約400万本の苗木を植えました。明善は作業員と共に山小屋で暮らし、率先して苗木を担ぎ、急斜面に一本一本植えていったと伝わっています。

  さらに植林したスギ、ヒノキが収益化するまでに長い年月が必要なため、地元住民の当面の収入源として和紙の原料となるコウゾ、ミツマタの植栽なども行いました。明善は天竜地区の多面的な産業基盤を整備していったのです。

  今、天竜地区は戦後の人工造林ブーム期に植林したスギが収穫期を超えたままになっているという大きな問題を抱えています。スギの手入れ、具体的には間伐を行わないと木が十分に根を張れなくなるのです。すると大雨や強風によって地滑り、土砂崩れが起きてしまうのです。今、天竜美林では災害リスクが高まっています。天竜美林を守ることは浜松の将来を守ることでもあるのです。

 

 


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2022.07.01更新

            

  温室効果ガスなどの排出による世界的な気候変動リスクの高まりにともなってカーボンニュートラルへの関心が高まっています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスなどの排出を全体としてゼロにする取り組みのことです。

  「全体としてゼロにする」とは、CO2 をはじめとした温室効果ガスの排出量から、植林・森林経営などによる吸収量を差し引いた数字がゼロになるようにすることです。

  カーボンニュートラルの取組の第一歩は自社の CO2 排出量を計算することです。計算は、電気、ガソリン、ガス、軽油、重油などの請求書や明細書に書かれている使用料に以下の係数を掛け算すれば簡単に計算することができます。

*主な係数

エネルギー係数   単位
ガソリン 2.32 t-CO2/kl    *1000 リットルが分母に注意
電気(火力) 0.55 Kg-CO2/kWh *分子がキログラムに注意
都市ガス 2.23 t-CO2/1000N ㎥ *1000N は常温での体積の意味
軽油 2.58 t-CO2/kl *1000 リットルが分母に注意
A重油 2.71 t-CO2/kl *1000 リットルが分母に注意
B・C重油 3.00 t-CO2/kl *1000 リットルが分母に注意

  

  当社は、オフィスなので電気とガソリンが主なエネルギー源で年間約 14 トンの排出量でした。顧客の製造業 A 社(社員数約 20 名)で約 420 トン、中堅運送業 B 社(トラック数十台)で約 3700 トン(軽油のみで計算)となりました。

  ちなみに、日本の 1 世帯当たりの CO2 排出量や約 2.8 トン、1 戸建てに住む 4 人家族の場合、約 5 トンになるそうです。

  これに対し、スギ林 1 haの年間 CO2 吸収量は約 9 トン(樹齢 40 年、1000 本と仮定)です。CO2 排出量は業種によって大きな違いがあります。まずは、請求書などから自社の CO2 排出量を計算してみましょう。

 

 


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