2024.04.15更新

 税務では、金銭以外のモノや権利などを享受した場合、「経済的利益」とみなすことが多いです。例えば、物品を贈られたり低額で譲られた場合、モノやサービスを無償や低額で貸与された場合、債務の免除や借金の肩代わりをしてもらった場合などは経済的利益を受けたものとみなされます。従業員のためを思って使った費用が経済的利益をみなされると従業員に給与を支給したのと同じことになってしまうのです。経済的利益を受けた従業員はその金額に対応する所得税が課されるのです。

 しかし、次のような費用については一定の基準を満たすと非課税の経済的利益として扱われ、所得税がかかりません。非課税の経済的利益とみなされるためには役員など一部の社員だけが享受するようなものであってはいけません。すべての社員に公平に与えられるものであることが必要です。一部の役員だけが旅行に出かけたり、スポーツジムに通うなどすると非課税の要件を満たさないことになります。

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 ある企業から「年末に従業員全員に商品券を配りたい」という相談を受けたことがあります。「構いませんが、その商品券の金額を年末のお給料に加算して所得税を徴収してください」と申し上げたところ、「なぜだ。おかしいではないか。これは給料ではなく“お疲れ様でした”という感謝の気持ちなのだ」と言われました。

 そうした「感謝」をしていけないわけではありません。その感謝には「経済的利益」が伴いますから、その金額分はお給料とみなすというルールになっているだけなのです。税務では「商品券を配る」ことと「特別手当を支払う」ことは所得が増えるという点で同じ意味のものとされています。

 

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投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

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