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2018.08.29更新

 次に示すように、英語には目的をあらわす数多くの単語があります。

◆Purpose  「行動の理由・動機、真の目的」

◆Intention  「目指すもの、意図」

◆Aim    「計画的な努力を要する明確な目的」

◆Objective  「到達に向けて努力・追求する対象」 

◆Goal    「抽象的で大きな目的」  

◆Target   「具体的な標的」
 

 一方、日本語ではせいぜい長期的・抽象的な「目的」と短期的・具体的な「目標」を区別する程度です。しかも多くの場合、その区別すら意識せずに「目的」、「目標」という言葉を使っています。日本と欧米とでは目的についての意識に差があるようです。しかし、これでは誤解が生じかねません。「目的」「目標」をどのような意味で使うかを意識することが大切です。

 まずは、長期的・抽象的な「目的」と短期的・具体的な「目標」をきちんと使い分けましょう。例えば、「製品の品質向上を実現する」という目的を設定した場合、「今年度の製品クレームを前年比10%減らす」が具体的な目標になります。このように、目的と目標を組み合わせると、これからやろうとすることが明確になります。この目的と目標の組み合わせは仕事の質を高めるのに有益です。

 営業マンがお得意様を訪問する場合、「顧客との関係を深める」という目的では具体的な行動を導き出せません。そこで、例えば「これまで話ができなかったA部長と面談する」という目標を設定することが必要になります。すると「どんな準備をすればA部長は面談してくれるだろうか?」と具体的に考えることができます。成果をあげている人は、このように目的、目標を使い分けていることが多いでしょう。

 ところで、英語のPurposeにあたる「なぜ顧客との関係を深める必要があるのか?」という根本的な目的までを意識している人となると、かなり少なくなるかもしれません。しかし、長期的に好業績をあげている人や会社には、こうした目的を意識していることが多いと言われています。より深い目的を意識しつつ、直面する状況の中での具体的な目標を常に設定する習慣が大切になるのです。

 浅沼 宏和

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

2018.08.16更新

 「管理」とは「逸脱・例外を見つけて正しくする」という意味です。適切な管理を行うためには検証と妥当性確認の違いを知っておくとよいでしょう。

 「検証(verification)」とは「仕事が適切に行われているかを証拠に基づいて確かめること」です。正確性の高い確認作業と考えればわかりやすいでしょう。つまり、検証とは仕事が正しく行われたのかを確かめることなのです。そのためには明確な基準が必要です。マニュアル、設計図、チェックリストのような基準がなければ検証はできないのです。

 これに対して「妥当性の確認(validation)」とは「仕事が本来の目的を達成できるように適切に設計されているかを証拠に基づいて確かめる」ことです。仕事の目的やプロセスが適切に設計されていなければ、仕事の管理自体が無意味になります。妥当性の確認とはそもそも仕事が正しいのかを確かめることなのです。仕事自体が正しくなければすべての努力がムダになります。

 正しく仕事をしたかを確かめることが「検証」です。そもそも仕事自体が正しいのかを確かめることが「妥当性の確認」です。この二つがそろって初めて適切な管理を行ったといえます。管理とは目的とプロセスを正しく設定し、正しいプロセスからははずれていないかを確認することなのです。

 付加価値の高い仕事では特に妥当性確認が重要です。付加価値の高い仕事は目的の設定が難しいからです。こうした仕事では「たぶんこうかな?」と仮説を立て、実行していきながら目的やプロセスを調整していくことが必要です。そこで妥当性確認が特に重要になるのです。

 仕事自体が正しくないとすべての努力がムダになります。経営学者のP.F.ドラッカーも「間違った仕事を見事にやり遂げる」と皮肉交じりにいっています。目的やプロセスが誤った仕事に経営資源(ヒト・モノ・カネ)を投入しても成果はあがりません。ですから、仕事の早い段階から「目的は適切か?プロセスは適切か?前提条件は変化していないか?勘違いしていた事情はないか?」といったことを自問自答しなければならないのです。

 検証とは精度の高い確認のことですが、そもそも妥当性を欠いた仕事の出来栄えを厳密に確認することは無意味です。仕事の妥当性が確認されているからこそ検証することに意味があるのです。妥当性確認と検証の二つが揃ってこそ適切な管理が行えるのです。

浅沼 宏和

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

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