「管理」とは「逸脱・例外を見つけて正しくする」という意味です。そのためには仕事が適切に定義されていることが必要です。そして、逸脱や例外を見つけるための手法が「確認」という関係になります。
実際に逸脱や例外を見つけた場合には修正をしなければなりません。「修正」とは正しくない状態のものを正しくするという行動です。「修正」は最も単純な管理手法です。しかし、同じような間違いを何度も繰り返す人もいます。こうした状態を放置していると、いつか取り返しのつかないアクシデントを引き起こす場合もあります。マネジメントの観点からはさらにレベルの高い管理が求められるのです。
トラブルやアクシデントのような異常事態、つまりあるべき姿に対する逸脱や例外を見つけた場合、単なる「修正」では不十分です。そうした場合には「是正」を行う必要があります。「是正」というのは再発防止のことです。同じ失敗を繰り返さないために、トラブルやアクシデントの原因を突き止め、その原因を取り除くことが「是正」です。「是正」を行えば同じ原因から同じ失敗が起きることがなくなります。
何か失敗した時に、単なる「修正」だけを行っているようではせっかくの経験をムダにすることになります。「失敗の原因は何だろうか?どうすれば同じ過ちを起こさずに済むだろうか?」と自問自答し、具体的な解決策を導き出し、それを実際に行うことで失敗が生きてくるのです。「是正」は適切な管理のための基本的な行動なのです。「修正」と「是正」の違いをはっきり意識するだけで管理の水準が高くなります。
「是正」は問題が起きてから行う行動ですが、できることなら問題が起きる前に対処した方がよいわけです。そのようなに事態を未然に防止する行動を「予防」といいます。「予防」にはまだ発生していない逸脱や例外を見つける視点が必要です。ですから「予防」は「修正」や「是正」に比べて格段に難しい取り組みになります。管理手法は「修正」、「是正」、「予防」という順番に難しくなります。つまりリスクマネジメントが管理にとって最も難易度が高い取り組みになるのです。
浅沼 宏和