浅沼宏和ブログ

2020.02.27更新

 製造業では、不良、不具合、不適合、欠陥、異常といった言葉をよく使います。しかし、これらの区別を明確にしていない会社が多く見られます。これらの言葉の意味の違いを意識すると品質管理のレベルが上がります。またこれらの用語は製造業以外のたとえば販売業やサービス業の業務管理にも応用できるのです。

 品質のISO規格(ISO9001)では、不適合、欠陥は定義されていますが、不良、不適合品、不具合、異常は定義されていません。ISOで「不適合」とは要求事項を満たさないことです。言い換えると「定めた条件を満たさない」ということです。不適合品という場合は、要求事項を満たさない製品(アウトプット)であるという意味になります。これは、いわゆる“不良品”と同じ意味と考えてよいでしょう。

 ただし、不適合が製品(アウトプット)そのものになければ、不適合品(不良品)とはならない場合もあります。たとえば、「仕事のやり方(プロセス)が条件からちょっと外れていた(不適合)が、製品そのものには問題がなかった」といった場合が考えられます。仕事のルール違反は是正しなければなりませんが、だからといって製品が不良品(不適合品)とみなされるとは必ずしも言えないのです。

 ISOで定義されているもう一つの言葉が「欠陥」です。ISOでは「意図された用途・規定された用途に関する不適合」とされています。要するに、“役に立たない”“使えない”製品だということです。そして、不適合品(不良品)の中でも、製品本来の役割を果たせない問題を「欠陥」と言うのです。つまり、「欠陥品」とは特に問題の大きな不良品という意味になります。「欠陥」は根本的な品質問題を示す用語なのです。

 しかし、「欠陥」という用語だけでは足りません。重大な問題だけを見つければ済むわけではないからです。実際の仕事では軽微な問題にも注意を払う必要があるのです。そのために役に立つ用語が異常と不具合です。「異常」とは「正常ではない」「いつもとは違う」という意味です。ちょっとした違和感を見つけることは品質問題の早期解決につながるのです。そして、「不具合」とは「モノなどの調子・状態がよくない」という意味です。異常の中でも特に製品本来の機能に関わるものを指す用語です。「不具合」をよく調べると「欠陥」が見つかることもあるでしょう。

 「異常」「不具合」「欠陥」の違いを具体例で説明します。異常とは、たとえば車のエンジンをかけてスタートした時に、“カラン、カラン”という小さな音がした場合などです。タイヤが何かを踏んだのかもしれませんから、それは必ずしも問題を示しているわけではありません。しかし、「いつもと違うな」と感じることで、問題を予防することにつながるのです。

 そして不具合とは、車のエンジンがすぐにはかからず、何度かスタートボタンを押しなおした場合などです。まっすぐ走っているのに、少しハンドルが左に切れる場合なども不具合に当たります。「あれ?なんだか調子がおかしいな」という場合が不具合なのです。そして、不具合の中でも特に問題が大きく、運転に支障がある、運転を続けることが危険であるような場合を「欠陥」というのです。

 なお、異常や不具合は不適合とは必ずしも一致しません。条件を満たして(適合)いても「何かおかしいな」と思うことはあるからです。品質管理のレベルを上げるには、「条件を満たしているけれど何かおかしい」(不具合・異常)に気を配ることが大切なのです。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

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